【学術文庫834】
ミシェル・フーコーと狂気のゆくえ　我狂う、ゆえに我あり
中谷陽二

20世紀後半を代表する思想家が残した膨大な仕事の中で、最初の大きな山が「狂気」と「精神医学」を焦点とするものだった。

1961年に34歳のフーコーが世に問うた『非理性と狂気』は、のちに『狂気の歴史』と改題されて今日まで読み継がれ、『言葉と物』や『知の考古学』と並ぶ代表作の一つとなっている。ところが、「狂気」というテーマは、その後の著作活動の中で背景に退いていき、フーコー自身、かつての狂気研究の価値を小さく見積もる発言さえ残している。
このことは何を意味しているのか？　「狂気」の問題はフーコーの関心の外に追いやられたのか、それとも、どこかに姿を隠しただけなのか。本書は、迷子のようになった「狂気」という問題の行方を探ることを目的としている。

そもそも「狂気（folie）」という言葉は、病気としての精神疾患を一義的に指すわけではなく、多様な意味をもつ。にもかかわらず、多くの研究者はフーコーの言う「狂気」を精神疾患と同一視し、その著書を批判的立場からの精神医学史とみなしてきた。本書は、その前提を疑うところから出発し、以下のように展開する。

『狂気の歴史』執筆の背景とアウトラインおよび方法、出版後の社会的反響、特に反精神医学運動による聖典化。フーコーを反精神医学の代表的論客とみなす定説の批判的検証。この定説の一つの根拠となった「精神病者を鎖から解放した大博愛家フィリップ・ピネル」という神話のフーコーによる破壊の内実。中期フーコーが権力を中心課題に据える中での狂気の位置づけの変化。夢と狂気に関するデカルトのテクストのフーコーによる解釈とそれにまつわるジャック・デリダとの論争。芸能、文学、造形作品に表現された文化的表象としての狂気とそのフーコーによる理解。レーモン・ルーセルという特異な作家の作品との出会いがフーコーにもたらした衝撃。

本書は、長年にわたる臨床経験に立脚しながらフーコーにおける「狂気」の問題を徹底的に追求する稀有な試みであり、その根底には「人が狂うことにはどのような意味があるか」という根本的な問いがある。

［本書の内容］
第1章　初期フーコーと狂気の問題
第2章　反精神医学の神殿へ
第3章　フーコーはピネル神話を破壊したか
第4章　精神医学権力――コレージュ・ド・フランス講義
第5章　愚かさと狂気――『阿呆船』と『痴愚神礼讃』
第6章　フーコーはデカルトをどのように読まなかったか
第7章　想像力の世界と狂気
第8章　ルーセルの衝撃
第9章　ソクラテスとフーコー

◇全国書店でお求めください◇ December 12, 2025

さらに今朝方、当日D代のみで入場できる箱や2人で来ると1人1500円とか狂った当日券が出た。興味ある方はこわいもの見たさでぜひ。僕はどこかにいます。成田大致って誰やねん、という方はこちらに波乱万丈狂気の歴史が分かります。知らない方がいいかもですがw
https://t.co/HEuWQzKGmq https://t.co/2o5kuAhK4C December 12, 2025

フーコーすごいな……現代の人よ、これを読んでください。『狂気の歴史』を……いやおもしろいんですが原典が人を殺せるレベルで分厚いのでうっすい入門書の「狂気」のセクションだけで構いません　わたしも今実際そうして読んでいますがすごいので　読んでいただきたいな December 12, 2025

@desu_rabbit 有名な人のものばかりで恐縮ですが、
松本卓也『創造と狂気の歴史』
伊藤亜紗『手の倫理』
は読み物としてはとても面白かったです December 12, 2025

どうやら狂気の歴史内でデカルトの省察についての批判があるらしく、かなり気になってる
とりわけ付録の「私の身体、この紙、この炉」は特に読んでみたい December 12, 2025

【狂気の省略】「お父さん大好き」— 映像に描かれない5年間の愛の崩壊を考察。藍色なぎ … 本作は、作品説明で語られる「母の死」という重厚な背景と、「カメラの練習」という現代的な支配が対比される、極めて業の深い記録です。この省略されたドラマこそが、父娘の関係の狂気を際立たせています。
映像に描かれない「5年間の狂気の歴史」を妄想させるフック
映像で入浴や欲情の瞬間...
詳細は→ https://t.co/mfU0E2br7w December 12, 2025