大統領令 トレンド
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2025.11.26 12:00
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科学的発見が「人間の手」を離れる日が来た。
2025年11月24日、トランプ大統領が署名した「ジェネシス・ミッション」は、単なる科学技術政策ではない。これは、科学そのものの「工業化」宣言であり、研究室での職人芸を巨大なデータ工場へと変貌させる、現代のマンハッタン計画だ。この国家戦略を解説する。
このミッションの本質は予算の増額ではない。
キーポイントは「プロセスの置換」にある。
従来の科学はあまりに人間依存的だった。仮説、実験、解析、論文、査読。このサイクルに数年から数十年を要する「遅さ」を、ホワイトハウスは致命的なリスクと断じたのだ。
なぜ今なのか。背景には中国の「挙国体制」に対する強烈な危機感がある。中国は国家主導でデータを統合し、材料科学や製造業で猛追している。対する米国は、省庁や大学がバラバラに動く分散型だ。このままでは負ける。だからこそ、シリコンバレーのイノベーションと連邦政府のインフラを、大統領令という剛腕で強制結合させたのである。
その実行エンジンとなるのが、エネルギー省に設置される「米国科学安全保障プラットフォーム(ASSP)」だ。これは単なるスパコンではない。24時間365日、人間が眠っている間も稼働し続ける「自動実験マシン」である。
ASSPの設計思想は「クローズドループ」にある。
過去の全論文・データをAIが学習。
新素材や物理現象の仮説を生成。
ロボット実験室で物理・仮想実験を自律実行。
結果を即座にモデルへフィードバック。
このサイクルを高速回転させ、発見のタイムラインを「数年」から「数日」に圧縮する。人間の認知限界や身体的制約というボトルネックは、ここで消滅する。
AIの燃料となる「データ」においても、米国は切り札を切った。連邦政府が持つ世界最大の「科学データの金鉱」の開放だ。
核備蓄管理(NNSA)、気候観測(NOAA)、希少な医療データ。これまで省庁の地下で死蔵されていたアナログ記録や断片データを、120日以内にデジタル化し、AIが読める形式に統一するよう命じている。
これは民間企業が逆立ちしても手に入らない、国家独自の学習リソースだ。
さらに興味深いのは、このプロセスにブロックチェーン技術が組み込まれる点だ。「AI・暗号資産担当特別顧問」デビッド・サックス氏の起用は偶然ではない。
AIが導き出した答えが、どのデータに基づき、どう推論されたのか。その「来歴」を改ざん不可能な形で記録する。これはデータポイズニング攻撃を防ぐ安全保障上の必須要件となる。
ジェネシス・ミッションが成功すれば、米国はエネルギーやバイオ領域で、他国を永遠に引き離す「神の視点」を手に入れる。発見の自動化は、知的生産の限界費用を限りなくゼロに近づけるからだ。
逆に失敗すれば、膨大な電力と予算を浪費した巨大な廃墟が残る。
ぼくらは今、科学が「個人の閃き」から「資本集約的な装置産業」へと変質する瞬間に立ち会っている。このパラダイムシフトは、研究者だけの問題ではない。ビジネスにおける「R&D」の定義、投資のタイムスパン、そして国家間のパワーバランスが根底から覆る。
「科学の自動運転」が始まった世界で、人間が担うべき最後の領域はどこに残ると思うか。 November 11, 2025
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