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虚像と実像
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2025.12.13 23:00
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【創造の神か?破壊の魔王か? 石丸伸二安芸高田市長の虚像と実像】
▽私は「ひろしまの地域と暮らし」(広島自治体問題研究所)の24年3月号(2月20日発行)に「創造の神か?破壊の魔王か?石丸伸二安芸高田市長の虚像と実像」という論考を発表した。
▽この度、改めて当時の全文を掲載。ご参考になればと願ってやまない。
なお、数字などは2024年1月下旬のものである。(以下、本文)
「創造の神か、破壊の魔王か。石丸伸二安芸高田市長の虚像と実像」
岡本 幸信 フリーライター(元毎日新聞広島支局三次通信部記者)
〇「リアル半沢直樹」」ともてはやされる石丸市長
安芸高田市の石丸伸二市長が2024年1月22日、同市吉田町の市役所で開いた「定例記者会見」なる場で、動画投稿サイト「YouTube」に発信する市の公式チャンネルの登録数が全国の自治体の中で最も多くなったと発表した。
同市は、「YouTube」に2020年7月から公式チャンネルを開設。主に同市の記者会見を中心に市政の情報を配信し、昨年9月には収益化を図った。同市によれば、記者会見時には、登録数20万人を突破し、登録者数19万人の神戸市を抜いて倭国一となった、としている。収益も昨年9~12月で約612万円になるといい、石丸市長は「全国からの応援に心よりお礼を申し上げたい。今後はチャンネルの発信力を使って市の魅力を発信していきたい」と話した後、登録者数の増加の契機となったのが、昨年7月の定例記者会見なるものだ、と話した。同記者会見なるものの動画再生は、300万回を超えている。
石丸市長は、議会や定例記者会見なる場で歯に衣着せぬ発言で対立する「物怖じしない」姿からテレビドラマの半沢直樹にたとえて「リアル半沢直樹」と評されるなど、動画やSNS、さらにはインターネットニュース番組で、「改革の若手市長」、「時代の寵児」と注目されている。
石丸市長は、果たして地方政治の「創造の神か」それとも「破壊の魔王か」。紙面の制約上、2024年1月までの最近の動向を中心に論じたい。
〇議会との対立を「劇場型エンターテイメント」として演出
石丸市長は1982年、同市吉田町の生まれ。京都大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。2020年7月、同市市長選に出馬するため同銀行を辞職した。河井克行衆院議員(当時)から前年に行われた河井氏の妻・案里氏の参議院選挙広島選挙区に関し、児玉浩市長が現金計60万円を受け取ったとして辞任したことを受けて行われた安芸高田市長選に出馬し、8月9日、初当選を果たした。
市長就任後、議会中に市議の一人がいびきをかいて居眠りをしていた事をSNSのツイッター(現X)で投稿したことで石丸市長と市議会との対立が始まった。その後、副市長の公募、市議定数半数削減といった対応を経て、22年6月議会で「居眠りをする、一般質問をしない、説明責任を果たさない。こんな議員はいらないという声を多く聞く。恥を知れ、恥を」と発言。その発言を記録した動画で発言が有名になり、メディアやネットで繰り返し再生された。
23年4月、道の駅「三矢の里あきたきかた」への「無印良品」出店計画を巡って、市長が改修費など関連予算の450万円を議会の議決を通さず、専決処分で行ったため、議会側は専決処分を承認。さらに、施設改善費3300万円を盛り込んだ一般会計補正予算でも改修予算分を削減した修正案を賛成多数で可決。事実上、市長が進めた無印良品の出店が見通せなくなった。6月には、石丸市長を支持する議員による不信任決議案が提出されたものの反対多数で否決され、その直後、市長への問責決議案が賛成多数で可決される不可解な事態を迎えた。石丸市長は「不信任決議案が可決されれば市民に議会への信を問うことができた。反対した議員は自分の議席を失いたくないからで、権力の私物化だ」と一部議員の対応を批判した。石丸市長と市議会との対立は泥沼と化した状態がその後、4年も続く。
石丸市長は、このような市議会との「対立」を「劇場型のエンターテイメント」と公言。市議との「対立」を演出することで、全国から注目を浴びることを狙っていた、
〇マスコミ、とりわけ地元紙「中国新聞」を標的に
「対立」の演出は、各々の市議の動向を監視し、「市民からの声があった」として、対象市議を呼び出し、「検閲」まがいの手法で、言論に対する圧力をかける一方、市長の意向にそぐわない相手を敵視し、市議会のみならず安芸高田市広報や記者会見で「晒す」ことで、自らの主張を半ば強引に「正当性」を主張する方法を繰り返した。
市議会に続き、標的にしたのがマスコミ、とりわけ地元紙の「中国新聞」だった。(続く) December 12, 2025
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