上西雄大 芸能人
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2025.11.26 02:00
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#真夜中に挽歌 千穐楽見てきましたので、素人なりの感想を(ネタバレご容赦)。作者の #松田優作 は昭和ど真ん中に育った私的にはリアルタイムな存在で、個性派俳優として一際輝いた存在でしたが、今回の再演でもその昭和のアウトローの世界が忠実に再現されており、見ていて全く違和感を感じませんでした。暗い倉庫の片隅を思わせる散乱した部屋、バイクの爆音、当時のお上りさんの言葉遣いや不良達の粋がったスラング、どれも昭和の雰囲気そのもの。そして後半のまさかのどんでん返しの後の出演者の表情の変化も、実に丁寧に描写されていました。
ジョージ役の #徳田皓己 さん、最初憎たらしいほどのワルを演じていながらもハクランの手の上で上手に転がされ、最後は格下に見ていた者に豹変されて、恐れおののきながらもワルの頭領としての矜持も保とうとする姿、自分の心の弱さを必死に隠そうとしていた当時のワル達の心の動きを忠実に再現していました。横浜銀蝿のような革ジャン姿が絵になっていましたね。
ハクラン役の #世森響 さん、ジョージの暴走を止めようとしたり上手に交わしたり、頭領のスケとしての立ち回りを見事に演じていましたが、やはりワルの役を演じながらも気品のある女性としての品格が保たれていました。吉永小百合などの往年の大女優が若い頃、どんな悪役や貧乏人を演じても光るものを感じさせていたような、そんな安心感も感じさせる。荒んだ雰囲気を和らげる緩衝剤のような雰囲気も出していました。ヤクが回って体がおかしくなっていき、怯えきった表情の後に「暑いよう~」と纏わり付いてくる仕草、何か凄く良かったなぁ。
とおる役の #船津祐太 さん、同一人物とは思えない豹変ぶりに一瞬ついて行けなかったが、前段の、お上りさんが都会の人間の掌の上で転がされる「猫を被った」演技、途中から本性を現し始め、最後に牙をむき襲いかかる一連の動きと淀みない台詞、どの場面も本物と見まごう迫真の演技。本懐を遂げるため腰抜けを演じていた赤穂浪士の大石内蔵助を思わせるその流れに思わず唸ってしまった。役者としての力量を感じました。
そして特別出演の #上西雄大 さん。一言も台詞を発せず、最後とどめを刺しただけで退場していきましたが、無口ながらも背中で役を演じる、高倉健のような格好良さがありました。うん、男ながら痺れてしまう。
なお、今の時代では一寸NGになりそうな偏見を思わせるやりとりがあったが、松田優作自身が自分の出自のことを生涯気にかけていたことを考えると、彼がこの作品で訴えたかったことがわかりやすい形で表現されていたように感じる。「本懐」を遂げたとおるが最後結局死んでしまうストーリーも、ある意味それを暗示しているようにも思えた。
その他、点滅光の中での踊り、撃たれた時のヒクッとした動きなど、演出の素晴らしさも光っていました。ともかくも非常に切れ味のいい昭和のハードボイルド劇。久しぶりに本物の劇を見た感じがしました。ギャラリーも皆舞台と一体化した心地よさも感じる。この日は昼過ぎまで京都で平安時代の古文書などを閲覧しておりましたが、早めの新幹線で劇場に滑り込んだ甲斐がありました。素晴らしい舞台を有り難うございました。 November 11, 2025
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