シモン トレンド
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2025.12.05 07:00
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主にあって選ばれた人ルフォスによろしく。また彼と私の母によろしく。
ローマ人への手紙 16章13節
英語訳
13Greet Rufus, chosen in the Lord; also his mother, who has been a mother to me as well
(翻訳:主に選ばれたルフォスと、彼の母によろしく。彼女は私にとっても母でした。)
(質問)
英語訳には倭国語訳にない文章がありますね。これはどうしてですか?
(回答)
結論から申し上げますと、倭国語訳(新改訳2017)は「原文(ギリシャ語)の文法構造」を忠実に再現しており、英語訳(特にNIVやESVなど)は「意味が誤解されないような説明的な意訳」をしている、という違いです。
詳しく解説します。
1. 原文(ギリシャ語)はどうなっているか
パウロが書いたローマ人への手紙のギリシャ語原文を直訳すると、以下のようになります。
τὴν μητέρα αὐτοῦ καὶ ἐμοῦ
(テン メテラ アウトゥ カイ エムゥ)
直訳:「彼と、私の、母を」
原文では「彼(ルフォス)の」と「私の」という2つの言葉が、ひとつの「母」という言葉にかかっています。
* 倭国語訳(新改訳)のスタンス:
原文の構造通り「彼と私の母」と訳しました。
これで「ルフォスの母であり、私(パウロ)の母でもある人」という意味を含ませています。
* 英語訳のスタンス:
単に "his mother and mine" と訳すと、「ルフォスとパウロは実の兄弟なのか?」という誤解を生む可能性があります。
そのため、「ルフォスの母であり、(実の母ではないが)私にとっても母のように接してくれた人」というニュアンスを文章にして補足しています。
2. なぜ英語訳は言葉を足したのか
質問者様が引用された英語訳(おそらくNIVやNLTなどの現代訳)にある "who has been a mother to me as well"(私にとっても母でした)という部分は、原文にはない言葉ですが、パウロの意図を汲み取って付け加えられた説明です。
パウロがここで言いたかったのは、生物学的な意味での親子関係ではなく、「彼女は私に対しても、実の母のように深い愛情と世話をもって接してくれた」という感謝の気持ちです。
英語訳はその情緒的なニュアンスをはっきりさせるために、あえて言葉を補っています。
3. 倭国語訳の「彼と私の母」の深み
倭国語の「彼と私の母によろしく」という表現は、一見あっさりしているように見えますが、実は「私たち二人に共通する母」という親密な共同体意識を表現しています。
* 「彼の母、そして私の母によろしく」と分けずに、「彼と私の母」と一息で言うことで、パウロが彼女を完全に身内として受け入れていることが伝わります。
○参考:ルフォスとは誰か?
ちなみに、この「ルフォス」という人物は、マルコの福音書15章21節に出てくる、イエスの十字架を無理やり背負わされた「クレネ人シモン」の息子であるというのが定説です。
かつて十字架を背負わされたシモンの妻(ルフォスの母)が、後に宣教旅行中のパウロを、実の息子のように世話し、支えたのだと考えられています。
そう思うと、この短い挨拶に込められた万感の思いがより深く感じられますね。
英語訳と倭国語訳を比較することで、パウロの「母のような愛を受けた」という感動がより立体的に見えてきたのではないでしょうか。(了) December 12, 2025
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