『HORA Vol.1』
私も「うたの日」育ちのひとり。久しぶりに太田宣子さんの歌に触れられたのは本当に嬉しかった。

泣くなとも泣いていいとも言はずただゐてくれたきみが差す傘の中／太田宣子「いつも八月」

東直子さんと鳥さんの瞼さんの対談はたっぷり過ぎるくらいたっぷりで、時間をかけて読みました。個人的には沢田康彦さんの名前に小さく反応したりして。

満ち潮にひろうサンダル何度目の輪廻で海に還るのだろう／石川真琴「海の変容」

なにひとつ寒河江のことを知らないが淋しいときに寒河江を想う／川島薪「あの町この町」

地下鉄のすみに体を立てかけてここは生者のための隧道／中村ハルカ「記憶を直す」

転んだら二度と戻れぬ教会の石造りの石に触れている／山城周「潜伏/シンドローム」

すこしずつ肌寒くなる展示室　このように　すこしずつ　戦争へ／田村穂隆「楢の木の床」

平英之さんの評論。野川さんの仰るように妥協のない丁寧な文章。こんなふうに取り上げられる歌たちは幸せ。

卵液が流れるたびに大陸が生まれ壊れる　グッドモーニング／野川りく「epilogue」

野川さんの好き、に触れる濃密な時間でした。ありがとうございます。
うまく紹介できなくて、ただただもどかしいばかりです。 December 12, 2025