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2025.12.13
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明日に向って撃て!に関するポスト数は1でした。本日話題になっているキーワードは「わが母の記」です。
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12月8日(月)、映画監督の原田眞人さんが逝去されました。享年76歳でした。
1979年に『さらば映画の友よ インディアンサマー』での初監督以降、映画監督のみならず批評家、著述家としても活躍していること、『ラスト・
サムライ』(原題:The Last Samurai、2003年)には、明治維新を推進する財閥当主役で出演するほか、2007年からは倭国大学国際関係学部教授として後進の指導にも当たってきたことも周知の通りです。
主な監督作品に『金融腐蝕列島・呪縛』(1999年)、『突入せよ!「あさま山荘事件」』(2002年)、『クライマーズハイ』(2008年)、『わが母の記』(2012年)などがあり、近年は『関ヶ原』(2017年)や『燃えよ剣』(2021年)など、司馬遼太郎の小説を映画化していることでも広く知られています。
また、ロサンゼルス・ドジャースを熱心に応援しているということでも広く知られており、私も大リーグの関係で何度かお話を伺う機会に恵まれました。
原田さんから伺ったお話の中で印象的であったのは、「アンビバレンス」の重要さということでした。
すなわち、原田んさんによれば、映画のドラマの質を高めるために不可欠なのは、「アンビバレンス」という要素であり、ビジネスと民族自決の間で葛藤するロレンス(『アラビアのロレンス』)や、『プラトーン』、『ゴッドファーザー』といった作品を思い浮かべれば、比較的容易に理解できるとされます。
こうした考えを大リーグに当てはめるとどうなるかというのが原田さんの次の問いであり、ビジネスとパブリック・グッド(公共財)との間の相克だというのが一つの答えでした。
確かに、21世紀の大リーグは利益の追求が最優先されています。
これは、一面において米国の経済の発展や他の競技との競争の過程で生じた当然の現象にも思われます。
それでも、あたかもビジネスが全て、という現在の大リーグに、どれだけパブリック・グッドの要素を回復することができるかが重要だという指摘に、原田さんの洞察の鋭さが実感されたものでした。
ところで、私は2015年3月17日に丸の内ピカデリー1において行われた映画『駆け込み女と駆け出し男』の完成披露試写会への招待を受け、参加しました。
15歳の時に映画監督になることを志して以来50年間希望していた時代劇を初めて手掛けたということもあり、登場人物の様子に黒澤明の影響を認め、画面の構成に溝口健二の痕跡を見出し、明暗の強調に1960年代の新藤兼人の面影を見付けることは難しくないのが『駆け込み女と駆け出し男』でした。
あるいは、『マイ・フェア・レディ』『明日に向って撃て!』『天使にラブソングを』などの構図や展開が連想されるのも、米国の映画に通暁する原田さんならではのものでした。
しかし、目配りの繊細さと発想の大胆さが合わさり、全国4つの寺で撮影された四季の風景が随所に織り込まれることで、『駆け込み女と駆け出し男』は鮮やかな印象と心地よい緊張を覚える、後味のよい作品となり、原田さんの映画監督としての力量の高さを実感するには十分な作品を目にすることができたのは、大変な喜びでした。
それだけに、今回の訃報は大変に残念なものであり、様々な分野で顕著な功績を残し続けてきた原田眞人さんのご冥福をお祈り申し上げます。 December 12, 2025
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