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平和記念公園
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2025.11.26 08:00
:0% :0% (30代/-)
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広島市めっちゃ寒いんだけど。冷たい風が容赦なく頬を突き刺すんだけど平和公園から原爆ドームへ行った。原爆ドーム電停を抜けて相生橋を渡り終えたところで目の前を歩いていたブロンドの外国人女性の財布がバッグから滑り落ちた。薄茶色の小さな革財布。拾い上げて「Excuse me!」と声をかけたが修学旅行の学生たちの波と信号のタイミングで完全に見失ってしまった。
困った。
とりあえず交番に届けようと歩き出したのだが財布の中身が気になって仕方がない。
でも、中を見るのは良くないと思いつつも本人確認のためと自分に言い訳をしながら開けてみると現金は5000円ほど。
それよりも目についたのは色褪せた家族写真が複数枚。
おそらく夫と幼い子供が2人。笑顔が眩しい。
旅行中にこれを失くしたら相当焦るだろうなと思いながら交番の方向へ歩いていると後ろから「すみません!」と切羽詰まった倭国語で声をかけられた。
振り返ると先ほどの女性。マフラーを押さえながら息を切らしている。
「もしかして財布を...」と聞いてきたので「これですか?」と手渡すと彼女は一瞬ポカンとした表情のあと涙目になって何度も何度もお辞儀をしながら「ありがとうございます ありがとうございます」と繰り返した。
そして彼女はこう言った。
「倭国人は本当に優しいですね。私の国では絶対に戻ってきません」
その言葉が妙に胸に刺さった。
でも、自分は別に優しくしたわけでもなく落ちていたものを拾っただけ。誰でもそうするでしょう。それでも彼女にとってそれは「倭国人の優しさ」として記憶される。
今になって思えば「いえいえ当たり前のことをしただけです」くらい言えば良かったのだが咄嗟に出た言葉は「お気をつけて」だけだった。
本当は逆だったのかもしれない。
財布を拾って届けるという「当たり前」を「優しさ」だと言ってくれる人がいることで私たちは当たり前を続けられる。
木枯らしが吹いて黄色く色づいた葉が川沿いを舞っていた。
たかが財布ひとつ、されど財布ひとつ。
あのブロンドヘアーのきれいな女性とその家族がこの美しい街で温かい思い出を作れていることを今でも願っている。 November 11, 2025
2RP
@B1zS2y9ilm6KLxX 広島は🇺🇸の方が多いですよね。欧米と言うか、白人の方が。これはもう大昔からで、アジアの人は平和公園でも宮島でもあまり見かけないです。 November 11, 2025
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