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2025.12.09 10:00
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東京地裁令7.6.5:専門職(公認会計士)の賃金減額・降格・配転命令に関する裁判例
【裁判例要約】
公認会計士として年俸800万円(総合職・主事補)で中途採用された従業員(原告)が、入社から約1年半後に年俸を650万円に減額された(賃金減額1)。原告がこの差額の支払いを求めて労働基準監督署に申告するなどしたところ、会社(被告)は、退職勧奨、一般職への降格(賃金減額2:年俸480万円へ)、さらに福岡への転勤および営業職への職種変更を立て続けに命じた。原告はこれらを不法行為であるとして慰謝料等を求め、会社側も休職中の立替社会保険料の返還を求めて反訴した事案。
裁判所は、従業員の主張をほぼ全面的に認め、会社の一連の行為を違法・不法行為と認定。会社に対し、①無効な賃金減額分の差額(約62万円)、および②一連の不法行為に対する慰謝料(110万円)の支払いを命じた。(なお、反訴の社会保険料立替分も認容した。)
・判断の理由:
賃金減額1(800万→650万): 無効と判断。
会社は、年俸制は成果主義であり業績評価に基づき減額したと主張。しかし裁判所は、被告の評価制度には客観的で合理的な減額の基準や限度が定められておらず、従業員の同意もない一方的な減額は許されないと判断した。
降格処分: 有効と判断。
原告は公認会計士として高度な専門性・管理能力を期待されていたが、実際の業務ではその水準に達しておらず、管理職(主事補)としての職責を果たしていなかったと認定。したがって、一般職へ降格させたこと自体は人事権の範囲内であるとした。
賃金減額2(650万→480万): 無効(不法行為)。
降格が有効だとしても、従業員の同意なく賃金制度(年俸制)自体を変更し、さらに27%以上も減額することは、契約違反であり許されないと判断した。
転勤・職種変更命令: 無効(不法行為)。
原告が62歳であり、私立中学に通う長男と二人暮らしであるという家庭の事情を一切考慮せず、採用経緯(経理・財務職)とも全く異なる営業職への福岡転勤を命じたことは、原告を退職に追い込む意図がうかがわれ、人事権の濫用であると厳しく判断した。
【コメント】
本件は、専門職として高待遇で採用した従業員のパフォーマンスが期待外れだった場合に、企業が陥りがちな「行き過ぎた」人事権行使の典型例であり、使用者側にとって非常に重要な教訓となる判決です。
1.「年俸制=自由に減額できる」という重大な誤解:
本判決が示す最大のポイントは、年俸制であっても、それは「賃金」であることに変わりはなく、従業員の同意なく一方的に減額することは原則としてできないという点です。会社側が敗訴した最大の要因は、「成果主義だから」という曖昧な理由で、客観的・公正な評価制度や減額ルールを明示しないまま、大幅な減額に踏み切ったことです。年俸額の変更、特に減額を行うには、極めて公正かつ透明性の高い評価制度の構築と、それに基づく本人の同意(または就業規則上の明確な根拠)が不可欠です。
2.「降格は有効」だが「減給は無効」という分離判断
裁判所が、「降格(職位の変更)は有効」だが、それに伴う「大幅な減給は無効」と明確に切り分けて判断した点は、実務上極めて重要です。使用者は、降格させれば自動的に給与も大幅に下げられると考えがちですが、本判決はそれを否定しました。職位の変更には合理性があっても、賃金の変更には別途、労働契約上の根拠(本人の同意や明確な賃金規程)が必要であると示しています。
3.「退職勧奨」と「報復的人事」は紙一重
本件の一連の流れ(賃金減額1 → 従業員が労基署に申告 → 退職勧奨 → 降格・減給2 → 遠隔地への転勤命令)は、裁判所から見れば、従業員を退職に追い込むための報復的な嫌がらせ(不法行為)と認定されても仕方がないものです。特に、62歳の従業員に対し、家庭の事情を無視してキャリアと無関係な福岡の営業職への転勤を命じる行為は、人事権の濫用の典型例であり、高額な慰謝料リスクを負う最悪の対応と言えます。
結論として、本判決は、パフォーマンスの低い従業員に対しては、感情的・報復的な措置をとるのではなく、客観的な評価基準に基づき、まずは本人と誠実に対話することが重要であることを示しています。一方的な減額や不合理な異動といった強硬手段は、かえって紛争を招き、本件のように慰謝料まで支払う結果になることを、経営者は肝に銘じるべきです。 December 12, 2025
教え子が公認会計士に合格し、税理士試験の全科目合格を果たし、さらにUSCPA試験に全科目合格をするという、トリプルで嬉しい報告を頂いたここ数週間。本当に嬉しく感じています。みんな、よく頑張った! December 12, 2025
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