黒看(クロカン) 映画
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2025.12.11 07:00
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先日アメリカで室内トラックシーズン緒戦の代名詞、BU Openerが開催されたこのタイミングで、敢えて提言したい。「#曽我瑛 選手はアメリカの大学進学を目指した方がよいのでは?」と。
何でもかんでも海外万歳!アメリカ万歳!っていうつもりはもちろんなく、彼の言う①自身が世界のトラックで勝負できる中長距離選手になりたい、②将来、自身の経験や知識を基に、倭国人選手でも世界の中長距離で戦える術を体系化したい、というビジョンに沿ったものです。
理由は大きく3つ。
① 単純にアメリカの中長距離レベルが高いから
② 2028年に自国開催のロサンゼルスオリンピックを控えているから
③ コーチングやトレーニング理論構築の下地を作るため
①については、シンプルながらとても重要。プロはおろか、NCAA (大学)レベルであっても、非常にレベルが高い。近年はアフリカや中東はじめ、ヨーロッパからの留学生が急増し (賛否の議論も)、アマチュアDLとも呼ばれる 。
1500mの全米ランキングをみると、2025年シーズンだけでも3'36"以内が36人 (うち大学生10人)。
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NCAA D1の決勝に残れるレベル ≒ 倭国記録更新、シニアの世界大会予選で戦う最低限レベルと例えられるかもしれない。実際に、近年の世界大会での中距離種目王者を見ても、Cole Hocker🇺🇸, Josh Kerr🇬🇧, Gerge Beamish🇳🇿などNCAAの1500mや1 mileでタイトルを獲っている選手は多いことから、NCAAは世界で戦うための登竜門と捉えることもできる。
こういったレベルで鎬を削る、レース慣れしておくことは、その上のステージで戦うことを見据えても大きな経験値となるはずだ。現在の倭国で一番強いマイラーといっても過言はないであろう飯澤 千翔選手もインタビューで、「倭国国内レースでは、周りが自分の動きに合わせてくれるのでプレッシャーが少なく勝負しやすいが、格上選手が多い海外レースでは、その逆になるため、まともに勝負するためにも場数が必要」といった旨の発言をしていた。
また、数年単位のスパンで中長距離走で必要とされる能力を満遍なく着実に伸ばすという観点からも、NCAAのシステムは比較的理にかなっている。秋のクロカンに始まり、冬の室内トラック、春-夏の屋外トラックと明確に期分けがされており、1500mを3'30"程で走るマイラー (1500m寄りの800mも) であっても秋はクロカンで有酸素能力の開発に着手し、レースではクロカン10kmだって走る。そして、クロカンで培った有酸素的ストレングスをトラックに活かしているケースは多くみられる。
②に関しては、アメリカ陸上界のトッププロアスリートたちにとってもオリンピックは'O word'とも呼ばれるくらい特別なイベント。それが33年ぶりの自国開催とあっては、特別感は段違いだろうし、2027-28年のアメリカ国内における陸上界隈の熱量は、筆舌しがたいものになると予想される。代表選考を兼ねた全米選手権などは、全選手が死に物狂いで代表の座を狙うことは想像に難くなく、本番のロスオリンピックは言うまでもなく、陸上王国の威信をかけた凄まじい雰囲気に包まれるだろう。
選手だけでなく、指導者の意気込みもスゴイものが感じられる。アリゾナのフラッグスタッフでNico YoungやParker Wolfeらを指導するNike Swoosh TCのコーチMike Smithは「28年のロス五輪に指導者として全身全霊で臨み、その後コーチングの一線からは退くつもり」と明言している。
20歳前後の多感な時期にその空気を間近で感じることは、トップを目指す競技者としても何物にも代えがたい財産になるはずだ(可能であれば自分が経験したいという願望も含まれる)。
③については、アメリカ中長距離界のトップアスリートだけでなくそのコーチのインタビューを聴いていると、その重要性をより強く感じる。もう少し厳密にいうと、選手としてパフォーマンスの向上を目指すのであれば、トレーニング理論、その理解の基礎となる科学 (生理学や解剖学、化学 etc...)を学ぶことが利点になることは間違いない。コーチが示すトレーニングやそのトレーニング哲学への理解度も深まるだろう。
欧米の中長距離界を見渡すと、運動生理学などの学位を持ったコーチが多いこともさることながら、医学や運動生理学に精通している中長距離ランナーも少なくない。あまり知られていないかもしれないが、実際に、Nico Youngは大学でExercise Science専攻、Parker Wolfeは両親が理学療法士 (PT)で、幼い頃から解剖学のテキストなどに目を通していたため自身の身体に対する理解は高いらしい。二重閾値で有名なノルウェーメソッドの発案者で自身も5000m 13'06"ランナーだったMarius Bakkenも医者だったりする。
また、選手・コーチ間の関係性構築や双方からのアプローチの仕方 (必要に応じて、心理学者などのスペシャリストが間に入る)、選手育成の方針なども参考になるだろう。
上記はあくまで学業と競技との両立を目指すアメリカ大学留学の一例だが、何よりも重要なことは、アメリカはじめ海外で学び競技をすることにより、倭国ひいては、倭国の中長距離界の育成システムを外から客観的に見る視点が得られることではないかと考える。倭国と欧米の育成システムを経験し、比較することで両者の良い点悪い点が改めて見えてきたり、新しい発見があるかもしれない。そのうえで、吟味し良いとこどりをしていけば、曽我選手の目指す「倭国選手でも世界の中長距離トラックで戦えるメソッド」の確立の一助になるだろう。
現在、欧米と倭国とでは、その時々の先端のトレーニング理論や栄養学的戦略などの普及・現場実践において、少なくとも2-3年のギャップはあると感じられる。ピークパフォーマンスを発揮できる期間の限られる選手にとって、この時間は甚大だろう。
新しい理論がすべて正しいとは限らないが、色んな理論や手法を試行する機会は大いに越したことはないだろうし、必要に応じて、興味を持った情報にアクセスし、理解する能力を身につけておくことは有益だろう。 December 12, 2025
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