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2025.12.11 03:00
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【深層レポート】カンボジアをハブとする巨額資金洗浄網と「倭国ルート」(連載 第11回 / 全15回)企業擬装——「倭国ブランド」の悪用と「出口詐欺」の悪知恵
▪️制裁対象企業「フイワン」の倭国進出
倭国国内には新たな脅威も迫っています。マネーロンダリングの温床として米英および韓国政府の制裁対象となったフイワン・グループの傘下企業Huione Internationalが、倭国市場での金融サービス開始を公式に発表していました。
報道によれば、同社は公式SNSなどを通じて「倭国からカンボジアへの送金」や「通貨両替」の利便性をアピールしていましたが、専門家はこれが犯罪収益を洗浄する新たな「地下銀行ルート」として倭国国内で悪用される危険性を指摘しています。
▪️「トラベルルール」を無力化する手口
彼らがなぜ倭国で金融サービスを展開しようとするのか。その背景には、国際的な送金規制「トラベルルール」の存在があります。FATFの最新アップデートによれば、暗号資産交換業者は送金時に「送金人」と「受取人」の情報を通知する義務があります。
しかし、フイワンなどが発行する独自コインや、管理者のいない「アンホステッド・ウォレット(Unhosted Wallet)」を経由させることで、この情報の鎖を意図的に断ち切ることが可能です。彼らは倭国法人を設立し、表向きは正規の業者を装うことで、倭国の銀行システムに接続し、そこから「追跡不可能な資金」として海外へ流出させるハブを作ろうとしているのです。
▪️「倭国ブランド」を悪用した信用偽装
懸念されるのは、悪質な開発業者による制度の「能動的な悪用」です。彼らの手口で特に悪質なのは、倭国を悪質なデベロッパーの隠れ蓑として利用している疑いです。
プリンス・グループやフイワン・グループなどの中国系カンボジア不動産デベロッパーが、相次いで倭国に子会社を設立しています。入手した登記簿によれば、これらの倭国法人は「不動産の所有、売買、賃貸」を主たる目的の一つとして掲げています。
倭国に法人を置き、倭国人の関与を装うことで、投資家や金融機関の警戒心を解き、汚れた資金の受け皿としての信頼性を偽装していた疑いがあります。倭国という「信用」そのものが、彼らのマネーロンダリング・スキームの道具として利用されている危険性について、専門家は警戒を強めています。
▪️「合法的閉鎖」の裏で起きている資産凍結
この「責任の切り離し」の手口は、カンボジア本国ですでに実害を生んでいます。現地情報によると、フイワン・グループの一部門は現在、顧客への支払いを拒否する状況に陥っています。
カンボジア国立銀行(NBC)は2024年に同社のライセンスを剥奪し、「合法的な監査を経て会社は閉鎖された」と発表しました。しかし、現実には多くの顧客が預け入れた暗号資産などを引き出せず、事実上の資産凍結状態にあります。
これは、不動産開発における「土地所有者とデベロッパーの分離」と全く同じ構図です。犯罪で稼いだ資金を自社のプラットフォームで還流(ロンダリング)させて利益を得つつ、当局の捜査や資金繰りの悪化といった「予定外の問題」が発生した際には、表向きの法人を閉鎖して責任を遮断し、顧客や投資家にすべての損害を押し付ける。これは、自らは決してリスクを負わない犯罪者特有の「悪知恵」と言えます。
▪️「実質的支配者リスト」制度の死角
倭国側も「実質的支配者リスト」制度などで透明性を高めようとしていますが、法務省の資料によれば、この制度はあくまで会社側からの「申出」に基づき、登記官が形式的な確認を行うものです。
しかし、犯罪者が「私が黒幕です」と正直に申告するはずがありません。犯罪グループは、支配的な影響力を隠蔽するために名義人(ストローマン)をリストに記載したり、「支配者が明らかでない」として代表者を登録したりすることで、逆に「公的なお墨付き(認証文付きの写し)」を手に入れ、銀行口座開設などをスムーズにするという、制度の逆用を行うリスクも懸念されます。
※本稿は、公益目的の観点から、公開情報・報道・当局発表等に基づき、資金洗浄の実態と構造的リスクを分析・考察したものです。 December 12, 2025
【深層レポート】カンボジアをハブとする巨額資金洗浄網と「倭国ルート」(連載 第12回 / 全15回)「動く金庫」と「専門的イネイブラー」 プリンス・ジャパン元役員逮捕で見えた洗浄ルートの深層
▪️プリンス・ジャパン元役員の逮捕
台湾当局の捜査線上に浮上していた重要人物、林揚茂容疑者が逮捕されました。
彼は制裁対象であるプリンス・グループ会長の資産管理を担い、倭国法人「プリンス・ジャパン」取締役を務めており、大規模マネロン事件「88会館」主犯格、郭哲敏と密接な資金協力関係にありました。
表の顔はプリンス台湾拠点「台湾太子不動産」副総経理ですが、彼はこの立場を悪用し、郭一派が賭博や詐欺で稼いだ数百億円規模の不正資金を、カンボジアの不動産購入費に見せかけ海外へ逃がすスキームを構築していました。犯罪収益を追跡困難な暗号資産(USDT)に変換、「太子荘園」など同グループの物件購入費として送金させ、汚れた金を合法的な不動産資産へ洗浄していたのです。
▪️倭国への逃亡と「聖域」カンボジア
特筆すべきは逃亡ルートでの「倭国」の役割です。事件発覚直後、郭哲敏は最初に倭国へ出国。林容疑者も「プリンス・ジャパン」を足場に日台を頻繁に行き来していました。
彼らにとってカンボジアは最終的な「聖域」ですが、倭国は高度な金融インフラがあり、滞在障壁も低い「安全な中継地」であり、倭国進出の足場固めは、万が一の際の逃避ルート確保だった疑いも強まっています。
▪️スーパーカーという「動く金庫」
台北の超高級マンション「和平大苑」地下駐車場には、誰も乗らないフェラーリなど10台以上のスーパーカーが埃を被ったまま保管。これらは愛車ではなく、口座凍結に備えた「動く金庫」といえます。
これは88会館事件関係者の常套手段ですが、台湾のこの異様な光景は、倭国でも進行中、あるいは間もなく起こる未来の姿かもしれません。
米国財務省資料によると、彼らはNYで購入したピカソの絵画やジェット機などを利用し、犯罪収益を「動産」に変えて隠匿する「アート・ロンダリング」等の手法も駆使しています。
▪️「小資金でも買える!」一般人を巻き込むミキシング
さらに彼は、台湾の投資家にカンボジアだけでなく、倭国の不動産物件を積極的に斡旋。当時のセミナー資料には、「小資族也能輕鬆買!(小資金でも気楽に買える!)」というコピーが踊ります。広告の「小資族」というターゲット選定は巧妙です。大量の一般人のクリーンな少額資金の中に、巨額の汚れた資金を紛れ込ませる「ミキシング」の疑いも濃厚です。
FATFが警告する通り、暗号資産のミキサー同様、不動産投資でも多数の小口資金と犯罪収益を混ぜて出所を不透明にする手口がとられ、一般市民の資金が知らぬ間に巨大なマネロン機構の一部として利用されていた可能性があります。
▪️「強化フォローアップ」という不名誉な刻印
なぜ倭国を目指すのか。答えはFATF(金融活動作業部会)の審査結果にあります。倭国は2021年の第4次対日相互審査で、マネロン対策の「有効性」で最高評価を一つも得られず、現在もG7の中で異例の「強化フォローアップ国」として監視下にあります。この指定は事実上の「落第」に近い評価です。
報告書が特に厳しく指摘するのが、弁護士や不動産業者など「DNFBPs(指定非金融業者)」への規制の甘さです。パチンコ店や不動産業者、士業などの「非金融業者」に対するリスク認識と監督が不十分であり、特に「犯罪組織が不動産を隠れ蓑にすること」への対策不備を断じられました。
ここには、不動産業者や士業が顧客の実質的支配者を特定する義務が徹底されていないという、致命的欠陥が存在します。
▪️他のG7主要国と比較して遅れる倭国の「ゲートキーパー」規制
問題は支援する専門家の存在。GFIレポートは、G7諸国が「ゲートキーパー(弁護士等)」へのAML規制を強化している現状を報告しています。具体的には、英国が政府直轄の監督機関「OPBAS」を設置し、米国も地域特定命令(GTOs)によって不動産取引の透明化を図り、ドイツでは守秘義務を超えて疑わしい取引を報告する義務を課すなど、管理体制を厳格化する流れが主流です。
これに対し、倭国は慎重な姿勢を崩していません。弁護士自治や守秘義務の観点から、疑わしい取引の届出義務には一定の制約が存在し、当局が資金の流れを把握しきれない領域が存在しており、厳格な規制を敷く他国と比較した場合、倭国がカンボジア同様に「資金洗浄の回避地」として機能しかねない現状があります。
FATFが呼ぶ「専門的イネイブラー」が暗躍しやすい環境が残存しており、各国の締め付けが厳しくなる中、規制の緩い倭国が「資金の聖域」として狙われている可能性は否定できません。
※本稿は、公益目的の観点から、公開情報・報道・当局発表等に基づき、資金洗浄の実態と構造的リスクを分析・考察したものです。 December 12, 2025
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