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十四代
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2025.12.01 18:00
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うわ、柿右衛門の湯呑がでてる…!うちも欲しいけど高そうやわ〜羨ましい😭
人間国宝 十四代 酒井田 柿右衛門「錦 柿文 湯呑」直径7.0cm×高8.5cm
https://t.co/sK2Vb3ufGi December 12, 2025
十四代、新政、花邑、田酒、赤武、写楽、亀齢、勝駒、千代鶴、仙禽、花陽浴、而今…。
甘くてフルーティーな倭国酒の人気が伸び、手に入らない状況が何年も続いているのは景気の良い話だ。しかし倭国酒消費は年々減少、蔵元も年間30軒ほどが閉業しているとどこかで読んだことがある。(ツリーに続く) December 12, 2025
藪内流十一月月釜「始冬の茶」
能《紅葉狩》を主題にした、まさに紅葉尽くしの席でございました。
待合には、狩衣に身を包んだ男たちが紅葉の下で煮炊きをする姿を描いた掛軸が掛けられ、錦秋の空気と木の香りまでが静かに漂うかのようでした。濃茶前に供された主菓子を盛る菓子鉢にも紅葉文があしらわれ、趣向の統一に自然と心が吸い寄せられます。
濃茶席でひときわ目を奪われたのは、朝日焼十四世・豊斎の茶入の取り合わせでした。先日の稽古で、私が幼少期にお世話になった老師様のもとで十四世豊斎が得度し、「猶香庵(ゆうこうあん)」を名乗られたことをお話したばかりでした。それを先生は何も言わず、静かに茶席に取り合わせてくださった――その控えめながらも心の通ったお心遣いが胸にじんわりと染み入ります。
掛花入には朝日焼十五代の作が用いられ、十四代作と十五代作の対比から、「燔師(はんし)」と呼ばれる橙色の焼成についても触れてくださり、学びの悦びに満たされました。
花は菊・檀(まゆみ)・ぬばたま。特に祇園祭を象徴する檜扇の実であるぬばたまが印象深く、竜田川を詠んだ和歌の茶掛と呼応し、京の冬の気配がしんと漂います。正木美術館からの帰路、夜に耳にした長刀鉾や月鉾の祇園囃子の練習の音色が、紅葉の情景に重なり、胸の奥に静かな余韻を残しました。
さらに心を打たれたのは、茶杓に建仁寺管長猊下の御父様――近江・弧篷庵先代住職作のものを用いられたことです。箱書には「深山辺(みやまべ)の里」とあり、薄茶席では旅箪笥を用いた点前。まるで深山の奥に分け入り、紅葉を眺めながら一服をいただくかのような、幻想的で静謐な光景が眼前に広がりました。
薄茶席の最後には、御相伴の方が、能《紅葉狩》の謡のご披露してくださいました。その魔力をも感じる美に、幽玄の世界に誘われ、胸がざわめくような高揚を覚えました。《紅葉狩》は、優美さと恐ろしさが交錯する能で、核心には「美の裏に潜む魔性」があります。
武将・平維茂が旅の途中、紅葉見物の美女たちに誘われ、禁を破り酒宴に足を踏み入れます。その瞬間の心の揺らぎが物語を動かします。後半、美女は鬼女となって姿を変え維茂を襲い、維茂が夢で授かった神剣によって退治されます。それは「色(かたち)に執着すれば、心は迷いに落ちる」という象徴でもあります。
しかし、この日の謡のご披露では、鬼女の魔性よりもその美しさが胸に迫りました。先生の茶会の趣向と相まって、まるで深山で美女と出会い幽玄の世界に身を置いたかのような錯覚に包まれました。
人は常に「正しく」「冷静」であり続けることはできません。美しいもの、魅力的な存在、危うい何かに心惹かれる瞬間――それは生きる証であり、能の幽玄はその迷いさえも許してくれます。
恋愛も、芸術も、音楽も、旅も、すべてに“惑い”があるからこそ、深い美しさが生まれる――。
ただし、自らを見失いすぎぬ範囲で、能や茶席というかならず終わりがやってくる安全な夢を味わえる時間がある。それこそが、心を豊かにし、記憶に深く刻まれる瞬間となるのでしょう。
拙い解釈ではございますが、紅葉狩の簡潔さゆえ、鑑賞者それぞれの心映しとなる点も、能の魅力であり楽しみなのだと思います。
最後に、心に浮かぶ情景を一首に詠んで締めます。
ぬばたまの 夜のふかみに 触れし指
紅葉(もみじ)踏む音 君を返さず
今月も、心に深く残る素晴らしい月釜をありがとうございました。 December 12, 2025
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