「獏」（絵・文 三日月電波作）

獏は、倭国の伝説における霊獣であり、主として人の悪夢を食すとされる存在です。

悪夢を見た後に「この夢を獏にあげます」と唱えると良い、という言い伝えもあります 。

その起源は古代中国の伝説上の生物に遡ります。

当時の中国においては、獏は悪夢を食す存在としてではなく、病や災厄を避ける力を持つ瑞獣（ずいじゅう）、すなわち吉祥をもたらす獣として認識されておりました。

獏の毛皮や絵図には邪気を祓う効力があると信じられていたのです。

この信仰が倭国へ伝播する過程で、邪気を祓う力が特に悪夢を食らう能力として解釈され、倭国独自の妖怪・霊獣としての性格が付与され
定着したと考えられます。

歴史上の人物との関連では、豊臣秀吉が獏を象った枕（獏枕）を使用していたとの伝承があり、その枕とされる遺物が京都の豊国神社に現存します。

ただし、秀吉が悪夢に悩まされ獏枕を用いたとする具体的な逸話については、後世における創作が付加された可能性が指摘されています。

ちなみにミず鬼ずムの三日月電波が描いた「獏」の絵が、とても素敵な喫茶店「屋根裏獏」さんに飾られています☺

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