黒潮が削る島影
父島はいつも遠い

船は週に一度しか来ない
来ても欠航する
来ても席はない
来ても運賃が高すぎて手が届かない

島は本土の夢を
夢のままにしておくしかない

十一月の都議会
空気は冷たく張り詰めている

そこにさとうさおりが立つ

声は低く
しかし震えはない

「即、国と協議してください」

飾り気のない一言
それだけだ

彼女は数字を並べる
欠航率
所要時間
医療搬送が遅れる日数
観光客が減り続ける現実

数字は静かに血を流す

知事は答える
「努力します」

何十年も繰り返される
波に削られて丸くなった言葉

さとうさおりは静かに返す

「全て止まりますよ」

その瞬間
議場が小笠原になった

風の音だけが響き
汽笛は遠くへ流れ去り
もう聞こえない

彼女はただ立って　
背筋だけが真っ直ぐで
まるで武士道極めし魂の片鱗のようである

これが政治のあるべき姿だ
華やかさはない
甘い約束もない

ただ
忘れられた島に
本土の怠慢を突きつけるが如し

見てください この人は
令和に残った本物の政治家に違いあるまい December 12, 2025

おはようございます。今日は昼過ぎくらいから雨が降る見たいです。#ohayo #父島 #母島 December 12, 2025